2013年2月25日月曜日

モバイルファーストは、ファーストフードなり~?


モバイルファーストは、ファーストフードなり~?


 前回のレポートでは、「PCサイトは幕の内弁当なり~!」というテーマをまとめて見ました。これはPCサイトには、できるだけ多くの要素を詰め込むことが常に考えられてきたからです。過去15年間以上、私たちに染みついてしまったパッケージ手法です。それは、受け手というよりもむしろ、「送り手の思いを詰め込むためのテクニック」だったようにも考えられます。

 さて、今後重要視されるモバイルファーストのデザインとはなんでしょうか?
 これは(1)圧倒的に画面スペースが小さいということです。次に、使われ方が(2)屋外で利用されることが多いということです。これらは、フューチャーフォンの時代にも、よく語られたことでしたが、以前は、PCとフューチャーフォンは別ものと捉えられていました。しかし、今ではスマートフォンがPCと同じものであり、PCやタブレットと連携しながら使うことが可能になったことから、よりモバイルに適した設計やPCとの連動できる設計が求められています。

 米国のスターバックスのWebサイトは、現在レスポンシブデザインで展開されていますhttp://www.starbucks.com/。

 レスポンシブデザインというのは、さまざまなデバイスに対して、適合できる手法の一つで、今後のマルチスクリーン、マルチデバイスへの最適表示方法として注目されている手法の一つです。
しかし、私の友人のMobify社イゴール・ファレスキーが、昨年末にシアトルでスターバックスのWeb担当者からコメントをもらったようです。「今回のリニューアルは、一部では失敗だった」ことを認めたようです。

みなさんは、なにが失敗だったのか、実際にスマートフォンで試してみてもらえますか?





  結論としては、モバイルでムービーは不要だったということです。つまり、PCと同じコンテンツの扱いは、かならずしも正ではないということです。モバイルで必要だったのは、ストアロケ-ター(店舗位置情報)だったり、キャンペーン限定商品だったりと、優先準備が変わってきます。
モバイルファーストの発想に立てば、よりターゲットの状況に即したコンテンツを提供することが重要です。


 この場合、レスポンシブデザインは、マルチスクリーン対応を考慮したものの、モバイルファーストは十分に考慮されていなかったと言えます。

  モバイルファーストを考える上で、例えのひとつとしてファーストフードがふさわしいでしょう。マクドナルド、吉野屋、ケンタッキーなどなど、前回の「PCサイトは幕の内弁当なり~」とは大きく変わってきます。

  ポイントは、素早いこと、目的が明確であること、価格がリーズナブル、この3つに集約できるのではないでしょうか?

(1)すばやいこと
目的の商品がすばやく探せますか?つまりローディング時間が高速でないといけません。また、素早く探せるUIも必要です。

(2)目的が明確であること
目的が買い物なのか、地図なのか、料金表なのか、より明確な選定が必要です。スターバックスの場合は、ショートムービーよりは店舗情報検索でした。ターゲットをもう一度見直して、彼らが求める内容を精査する必要があります。

(3)価格がリーズナブル=モバイルならでの手頃感
お手軽であることが重要です。とくにEコマースの場合は手軽に購入できる商品を中心にまとめることを考慮する必要があり、そういう意味では、PCサイトとは違う商品を用意することも必要のようです。

 そして、ここでは、より多くの要素ではなく、限られた要素に絞ることも重要です。PCサイトは真逆なミニマムな発想をもって検討してみることが必要です。
これらを検討しながら、「モバイルファーストのためのサイト作り」を考えてみてはいかがでしょうか?



2013年2月21日木曜日

PCサイトは、幕の内弁当なり〜!

 最近、「モバイルファースト」を考える機会が多いのですが、そもそもデスクトップサイトというのは「いかに情報を詰め込むか」という、なりゆきで始まったと感じています。
 つまり限られたサイズの中で、いかに情報を効率よく詰め込み、ポイントを押さえるか。これは雑誌のレイアウトの原則だったのではないかと思っています。かつて、雑誌の編集者をしていた頃に、デザイナーのN親分が、教えてくれたことがあります。
「ただ詰め込んじゃダメ。なにがポイントかを考えてラフを描くんだ」と。

ビギナー編集者というのはどうしても要素を詰め込んでしまいがちです。「白スペース恐怖症」というのもありました。でも、こういうページは、「どこがポイントであるかどうか、わからない」からダメページにあるというのです。
答えとしては、「つまりポイントを作れ」でした。

今考えると、雑誌デザインは、雑多な要素に調和をといれた「幕の内弁当」だったともえいえます。この写真の場合、ポイントとなるのは、エビフライです。



さて、幕の内弁当デザインといえばヤフーです。

かつてのヤフーのデザインはこれでした。それが10年後にはこうです。

1997年                       2010年


 

どうでしょうか?
複雑化をつづけながらも、「そうじゃいけない、よりわかりすく、より多く」という「整理とポイントの歴史」を続けてきたといえるでしょう。
ヤフーの場合はレクタングル・バナー枠が「エビフライ」に相当するのでしょう。


モバイルファーストの時代は、ファーストフードの発想で。

モバイルファーストの時代になってくると、今度は、情報を最小化していく必要があります。幕の内弁当ではなく、「ファーストフード」に切り替える発想だとおもっています。

マクドナルト、吉野屋、Coco壱番屋、KFC・・・・・


『モバイルファースト』著者 ルーク・ウロブロスキーがいいます。
ユーザーに場所や、そのときのニーズ、つかい用途を考えてデザインしていく必要があると。

しかし、問題は、それをどう実践していくかが重要です。なにしろ我々は15年以上も「幕の内弁当」の発想でWebサイトを作り続けてきたきたわけですから、そう簡単には切り替えられないのです。シンプルで要素の少ないデザインをできるでしょうか。

雑誌デザインでいう「白スペース恐怖症」に似た、シンプルすぎる要素を
どう判断していくことになるでしょうか?
ぜひこれについて、ご意見お願いします。

2013年2月12日火曜日

モバイルファーストという言葉の意味?

モバイルファーストという言葉が使われ始めています。

この言葉は、元ヤフーUSAのチーフアキテクトであり、eBayでも活躍したUI/UXデザイナーのルーク・ウロブスキーが2009年に提唱した言葉です。

2011年9月には、彼の著書「モバイルファースト」が、米国で発売され、ようやく日本でもこの言葉が少しずつ使われ始めているようです。



モバイルファーストを簡単におさらいすると3つのポイントがあります。それは3つの社会変化といえます。

1)急拡大するスマートフォン端末の拡大
2)限られた画面における制約ーコンテンツフォーカスが必要
3)新しいテクノロジー 位置情報や音声認識などの登場


以上の変化が生活スタイルに関わってくるために、今後はPCによるデスクトップファーストではなく、モバイルを中心とした「モバイルファーストでの行動スタイル、コンテンツ様式が求められてくる」といいます。

このことを突き詰めていくと、
もはや重要視すべきなのは、モバイルサイトであって、
デスクトップサイトは、二番目に考えればいいという考えです。


すでに主婦層や若年層では、スマートフォンを中心とした行動様式のシフトが始まっており、PCサイトのモバイルからの流入率は 40%を超えようとしています。これらは欧米なみに、1年後には間違いなく50%を超えてくる可能性があります。


バズワード化するモバイルファースト?

このモバイルファーストについての考えは、後述するとして、この言葉は、少々暴走気味に一人歩きをはじめている気配もあります。

 ある携帯端末会社のスタッフはいいます。自分たちのサイトはモバイルファーストで作ってあるから大丈夫です。話をしていくうちにちょっと定義がずれているのに気がつきまいた。彼らは、モバイル専用のサイトをスクラッチで作る。または、スマートフォン専用のアプリを開発するという意味で使われていました。

専用アプリがモバイルファースト?これには少々驚いてしましました。それは言葉として間違いないかもしれませんが、デバイス間の連携やコンテンツの流用=ワンソースマルチデバイスなどはまったく考えられていなかったからです。


ルークの考えるモバイルファーストをあえてわかりやすくいえば、

モバイルを中心にWEBサイトを設計し、それをマルチスクリーン対応にして効率化をはかること」

と理解します。そしていま注目されているのは、ユーザーはデバイス間で遷移をするということです。
 今後、明らかにされる、モバイルへの流入率、利用時間、滞在時間、Eコマースの伸びのデータの公表は、間違いなく、モバイルファーストに対する感覚を大きく変えていくことでしょう。