2012年12月30日日曜日

デジタルメディアは「計測できる」からこそ価値がある!

 今回は、コムスコア日本代表の前川洋輔氏にインタビューをさせてもらいました。

 コムスコアは、ニールセンなどと並ぶ米国のデータ調査会社です。私自身でいうと、2007年に、米国のGlamメディアの調査をしているときに、彼らがコムスコアのデータを利用して広告効果のレポートを出していることから、気になっていた会社です。


その前川洋輔さんは、こういいます。

「デジタルメディアは、計測できるから価値があるんです」

「マルチデバイス、マルチスクリーンの時代では、OneWeb=1つのURLの発想で考えていかないと、その計測できるバリューにひずみができてしまうんです」

 みなさんは、この意味がわかりますか?ちょっと背景を説明すると、スマートフォンサイト対応には、いくつかの方法があるのですが、多くのソリューションが分離された別々のモバイルサイトを作ってしまう傾向があります。
 日本でも6割とされる「スクラッチ」でのサイト構築もそうで、URLはPCと異なってしまいます。また最適化コンバートを行うプロキシーソリューションでも同様で、ドメインに前に、mドットがついてしまいます。これらはOneWeb=1つのURLではありません。


スクラッチで構築した場合PC www.yourdomain.co.jp/     スマホ  www.yourdomain.co.jp/sp/

プロキシーソリューションの場合:PC www.yourdomain.co.jp/     スマホ  m.yourdomain.co.jp/

※スクラッチは個別でスマホサイトを構築するやり方。プロキシーソリューションは、プロキシーサーバーを使って、キャシュされた別のサイトをリダイレクションによって読みにいくやり方で、フューチャーフォンの時代から利用されていた方法です。


このURLの問題が何を表しているかがポイントです。
非OneWeb、つまりURLが別々になったときの問題としては、大きく下記の3つがでてきます。
  1. SEO効果をだめにする。リスティング効果が半減
  2. ソーシャル効果がダメになる。拡散、集客
  3. マーケティング集計 ログ解析がダメになる。


1)2)も結構大きな問題だったのです。カンタンにいえば、領域が別になるわけです。Googleのクローラーは1つではなく、複数それぞれのサイトを走る必要があります。無理矢理サーバーサイドでURLを調整する方法もありますが、この方法でもサーバー内部でリダイレクションをかけているので、クローラーは1つではありません。

3)のアクセス解析の問題はどうでしょうか? 解析のテクニックでなんとか調整するという方法があるとは聞いていましたが、結構調整が大変、人為的なミスがおこりやすい、でてきたログが判読しがたい状態になるなどの面倒さがあります。つまり計測しにくいという問題がでてきます。


つまり、マルチスクリーン時代はOneWEBであることが必要です。Googleもそうだし、コムスコアでもデジタル分析の上で、推奨しています。

計測できない、または計測しにくいWebページであることは、WEBマーケティングの本来の役割を果たしていないともいえるのです。

「タブレットサイトへの対応を含めても、WebはOneWebでなければならない。
このコラムのタイトル「OneWebワールド」の価値を、改めて認識したインタビューとなりました。ありがとうございます。




2012年12月6日木曜日

エンジニアから見た、Mobifyの優れたポテンシャルと今後の発展性について


Inside Mobify

エンジニアから見た、Mobifyの優れたポテンシャルと今後の発展性について
        ~技術アドバイザー・黒田正信氏に聞く

 今回は、サーバー系エンジニアである黒田正信氏に、Mobifyがもたらす技術のすばらしさについて語ってもらいました。
 というのも、見過ごしていた技術のポイントを黒田氏が、自らの饒舌に語りはじめたからです。彼のコーフンぶり、CEOイゴールとの熱い会話、エンジニア同士のやりとりの中で、Mobifyの真のポテンシャルが分かり始めたからです。

 今回のインタビューは、エンジニア黒田氏にとってのMobifyの技術的な感動を再度、ここで収録してみました。


プロキシー・ソリューションでは、まったく興味がなかった。

 最初、Mobifyを知ったときには、従来からあるプロキシー・ソリューションだと思っていました。プロキシー・ソリューションは、サーバー側でコンテンツをスクレイプしてキャシュして配信するという当たり前のやり方です。

 ところが、新しいMobifyクラウドは、クライアントサイドのデバイス本体にいろんなことさせるソリューションでした。
 つまり「スマホ本体の中で最適化を行う状態を作る」という。こんなやり方は、今までは考えられなかった。少し前のデバイスならばパワー不足で実現が難しかったやり方だったんです。
 これは画期的なことだと思います。



デバイスの本体で最適化というアイデアはすばらしい

 ボクが古いのか、Mobifyチームの彼らが天才なのか、アイデアそのものとしてもデバイス本体でも表示の最適化を行うという常識を変えたところが凄いと思いますよ。

 逆に、従来のプロキシーソリューションでは、まったく予想の範囲内だし、ガラケーの時代からあったやり方なんです。プロキシーソリューションだと、結構サーバーに負荷がかかります。しかし、Mobifyクラウドの解決方法は、逆にサーバー側に負荷がかからない仕組みなっています。これもエンジニアからみたら画期的ですね。つまり技術的にコストを下げていくことにつながる技といえるからです。


Mobify.jsの優れた素質と今後の活用法

 Mobify.jsは、Javascriptの新しい使い方を追求しています。デバイス側で非同期通信を行わせているわけですが、サーバーとの通信負荷を減らすことにもつながっています。
 
 Javascriptは、ここ数年でいろんな活用が萌芽した新しい技術であり、こうしたアイデア事態がコーフンしますね。
 またMobify.jsは、Googleの開発したNode.jsをベースにしていることも安心感を生みます。なにしろGoogle自体が、Javascriptをこれでもかと、徹底的に駆使してきたサービスをたくさん生み出していますからね。
 このMobify.jsは、CTOのジョン・ボクサールが開発しています。彼らが自分たちのMobify.jsをGoogleのラリーページに見せたそうですが、ラリー・ページ自身が「こういう使い方っていいね!」といってくれたようです。


オープンソースになったMobify.js

 Mobify.jsは、2012年の6月に、オープンソースとなりました。オープンソースを不安視する声もありますが、逆にその利点はいろいろあります。
 まず、多くの人の目に止まるようになることで、あらゆる問題点が浮き彫りになります。そのためバグ対応のスピードが加速化します。また解決方法が見つからなければ、「自ら開発してやろう」という人もでてきたりします。逆にいうと、クローズで開発しようとすると、社内リソースがいくらあっても足りないような作業を、フリーミアムで行える環境ともいえるのです。
 いまでオープンソースであることのほうが、たくさんの人が見て、開発やバグ問題を解消するという安心感や信頼感を生んでいます。こうした面でいうと、オープンソースであるということは、サービス面の改善でもリードしているといえます。



OneWeb=同一URLを行うというのは、絶対必要だ。

 同一URLというのは、理屈でいえばURLがそろっていたほうがいいわけです。OneWebであらゆるデバイスを対応させるという。つまりなんだかんだと言って、URLが分かれていていいことなどありません。スクラッチの開発会社は理屈を加えるかもしれませんが、SEO対策、ソーシャル対策、マーケティング活用、分析の面で必要条件といえるでしょう。
 とくに、最近はFacebookやpinterestなどのソーシャルメディアによって、確実に売上げが上がるということが証明されてきています。これが別URLやサブドメインだと問題が起こるわけです。スマホでみたものがPCでみるとか、PCのサイトをスマホで見ることになるとか、不都合がたくさん生じてきてしまうわけです。しかし、この点も他のOneWebソリューションは、デザインをなくす方向で対応していますが、Mobifyの場合デザインをスポイルしない開発が可能な点もいいですね。



モバイルCDNのスピードを手軽に利用できる

 Mobifyはその変換方法やロジックに注目されていますが、モバイルCDNの存在も忘れてはいけません。
 Mobifyでは、EdgeCast(エッジキャスト)というCDNを利用していますが。これがとにかく速い。計測してみると、CDNを利用していない場合のWebサイトサーバー本体よりも、Mobifyほうの応答速度ははるかに上回っているのです。
 
 つまり、PCサイトよりもレスポンスが速いわけです。モビファイサービスの場合、こうしたCDNの費用が月額利用料に含まれるわけですから、どう考えてもオトクでしょう。
 単体でCDNを利用しようとすれば、設定も大変だしコストもかかることになってしまいます。パッケージとしてインクルードされていることは大きいと思いますよ。


スクラッチ工法やCMSで対応することはどうなんだろう?

 スクラッチで開発したり、サーバーサイドのテンプレートで対応することって、まだまだ一般的ですよね。ただ、こうしたやり方でやり続ける限りいろんな不具合ができてしまいます。まずスクラッチだと作業が別途別にかかり続ける。これはあり得ないわけです。コストが無尽蔵に増えることは企業としてだめですから。またサーバーサイドのテンプレートでいえば、設定を細かくすることはできてもキリが無いわけです。
 
 それにOSや新機種のバージョンアップのたびに右往左往する可能性がでてきます。それもサーバー単位で細かく修正するというような。1つや2つならまだいいですが、複数単位やぺージが増えると大変です。これがMobifyの場合、システム上で調整が効きます。この点も大きいでしょうね。 


セキュアまで標準で対応している。

 Mobifyのクラウドは、セキュア対応が標準で対応しています。というか、PCサイトのセキュア対応に準じます。多くのプロキシーソリューションが、SSLサーバーを介してセキュア対応をしているわけですが、プロキシー自体がセキュアに向いていないリスクを抱えています。
 その点Mobifyは通信そのものをPCとスマホを直結したカタチで、画像関係だけをセキュアに関係なくコントロールしています。つまりデータ漏洩が発生しない。ほかの方法ならばいろいろ設定が必要な場合が多い。それがないだけでもすばらしいですね。そもそも2年前にPCDに問題からプロキシーソリューションに限界を感じたことから生み出されたクラウドと聞きます。この点にも注目ですね。


黒田正信氏 第四企画代表 サーバー系エンジニア