2012年11月6日火曜日

【ウラジオストク対談】 マルチデバイス対応には、OneWebとアダプティブで対応していく!

はじめに。
ここ極東の果てのウラジオストクで、私とMobifyのイゴール・ファレッツキー社長と一緒に、連日のように、新しいモバイルサイトの対策について話し合っています。

というのは、従来の「最適表示」という問題に大きな変化が起こっているからです。もはやスマートフォンサイト対策だけでは、不十分であり、7インチを含めたタブレット対策という問題が目前にせまっているからです。ネクサス7に始まり、iPad Mini, Kindle Fire,さらにサムソンの新機種など、さまざまなサイズのタブレットが登場してきています。

サーバーサイドテンプレート調整の問題は、コストと、小回りが効かせにくい調整作業


占部雅一(以下 マサ)
 マルチデバイス対応なんだけど、結局、我々が取り組もうとしているOne Web以外の方法で、ほかにいい解決策があるのだろうか? CMSのサーバーサイドでのテンプレート調整では同等の対策をすることもできるが、この方法についてはどう思う?


イゴール・ファレッスキー(以下、イゴール)
 CMS+サーバーサイドテンプレート調整のコントロールをやれば、インフラのコストも含めて3倍~5倍のコストがかかってきてしまう。それはクライアントにとってたまったものではない。我々は、オープンソース化したMobify.jsを使い、かつ我々が用意したクラウド・サービスを使う。そのほうが、コスト的にはるかに安上がりになるのは間違いない。モバイルCDNなどを個別で用意したら、いったいどれほどのコストになるかを試算してみるといい。

マサ:結局、OneWebにするにしても、サーバーサイドのテンプレート調整では、結構手間になるようだし、いまはタブレット対応は、まったく考えられていないようだね。


イゴール: タブレット対応は、サーバーサイドのテンプレート調整でやる限り、コストがかかり過ぎる。またテンプレート調整では小回りはきかない。なのに内部のエンジニアは、トータルでコントロールしたいから、どうしてもこの方法に目がいくようだ。

レスポンシブウェブデザインは理想的だがコストに加え、エラーが発生しやすい


マサ: では、レスポンシブウェブデザインという方法はどうだろうか?OneWebを実現する上では、すでに古典的な手法で、もう何年も研究がされている。しかし、これらの「トラディショナルなレスポンシブウェブデザイン※注1」では、本当の意味での解決策にはつながらないのではないか?

イゴール; そのとおり。コストが合わない。

マサ: つまり、手間がかかりすぎる。構築の時間、コスト、メンテナンス、更新性など、どれもやっかいだよね。レスポンシブウエブに取り組むチャレンジャーのデザイナーでさえ、半分は諦めている感じがする。なのにムーブメントだけは熱い。クライアント側に対しても、トライアル後には「こんなに大変ならやめたほうがいい」という声も聞く。


イゴール:アメリカにもレスポンシブウェブデザインに対しては、熱烈なフリークがいる。彼らの取り組みといえば、CSSの芸術的なアプローチを追求し、そのジーニアス(天才的)な手法にこそ未来を見ようとしているうようだ。

しかし、我々自身がスターバックスやideeli(アイデリー)で取り組んだように、Adaptive(アダプティブ)ウェブという手法を提案している。

これは、PCサイトはそのままに、モバイル側だけでレスポンシブウェブデザインの対応を図るというコンセプトだ。

マサ: レスポンシブ・デザインの最大のネガは、リニューアルをしないといけないという点につきる。ここが大きなハードルです。また構築コストも約2~3倍かかってしまう。100万円でできるサイトに、だれが300万円もの大金を支払うだろうか。


イゴール:しかし、北米ではEコマースを中心にレスポンシブウェブデザインが主流になるとも言われている。Googleがこの方法を推奨しているからであり、SEO対策、ソーシャルシェアやアクセス解析の点でも問題がないからだ。また、実際にクローラーがひとつで済むというもの大きな点だ


「アダプティブ」とは、レスポンシブ・デザイン+Mobify というハイブリッドの対応策


マサ: 実際のところ、「アダプティブ」こそが最良策だろう。レスポンシブ・デザイン+Mobifyを組み合わせたハイブリッドな手法が、実はもっとも現実的だとおもう。それは先のリニューアルが不要なため、それに早く対応できることだ。
しかし、それなのに日本では、ハイブリッド策は、邪道と思われている節もあって、ピュアな開発者たちは、関心を寄せてくれない。

イゴール:アメリカでもそう。インハウスの技術者たちは、すべて自分たちでの解決を求める傾向があるんだ。スクラッチしかり、レスポンシブウェブデザインしかりだ。しかし、こうした方法でやればやるほど、構築コストとメンテナンスコストは跳ね上がってしまう。それは結果的に、クライアントに大きな負荷をかけるはずだ。

マサ:では、いま我々が取り組んでいる解決策、アダプティブウェブしかないんじゃないだろうか?つまり「Mobify.jsとクラウド」を使うことで、本当の意味の解決策はなるという。 イゴール、ほかの方法は、まだあるんだろうか?


イゴール:ないと思う。おまけにFacebookの急進がOne Webでなければならないことを押し上げている。口コミにしろ、モバイルコマースのコンバージョンがそれを証明しているしね。


マサ: とすると、僕らのPRが足らないということじゃないかな。でも、こうした結論にたどりつくまで結構時間がかかってしまった。なにしろ、どれも手探りだからね。

イゴール: これからは、アダプティブがいいでしょ。





マサ: そうだね。PCサイトはそのままにして、モバイルサイトのみをレスポンシブウェブデザインで対応させる。しかもスマホだけでなく、タブレットもやってしまう。

PCサイトの全面リニューアルは大変だから、そのままにしておく。過度的な解決策かもしれないが、ここ2年くらいは現状サイトが残るだろうから、企業サイトがモバイルファースト化するまでの執行ゆうyと思う。


イゴール:ともかく、ここロシアでもユーザー率は25%と、日本と同様だけど、街中には日本以上にWifiが多いね。日本は街中のインフラが少なすぎると感じたよ。どこにもアンテナが立たないのが問題だ。 北米のユーザー率は、来年には60%を越えるだろう。まもなくタブレット市場が活性化するとおもっているんだ。

マサ:、もっとOneWebを理解してもらうように、がんばりましょう。



※注1 トラディショナル・レスポンシブデザイン → CSSの技術を駆使して構築するオーソドックスな構築方法。反対に、レスポンシブ・デザインにMobifyのクラウド技術を加えて対応する方法を「アダプティブ」と呼んでいます。この方法だと、PCサイトはそのままに、モバイル側を対応することができるため、大がかりなリニューアルをする必要がありません。

※注2 One Web (ワン・ウェッブ) → PCサイトやスマートフォンサイト、そしてタブレットサイトをひとつのページ、すなわちOneWebの絶対パスのページで対応する方法。この方法だとあえて、複数のページを作成する必要がなく、集客や拡散の上でも大きなメリットがある。とくにFacebookが伸張している時代において、口コミによるリコメンドの存在は大きく、モバイルEコマースにおいては欠かせない条件と言われている。また同様にSEO効果にも都合がよく、、マーケティング分析の上でも無理のない仕組み。これらは、スクラッチやプロキシータイプのソリューションでは解決しにくい課題となっている。



2012年11月6日 (ウラジオストックでのモバイルサミットにて)








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