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2014年4月22日火曜日

ろくでなしのモバイルサイトはいらない

ろくでなしのモバイルサイトはいらない。 

 2012年頃には、まだ10%台だったスマートフォンの普及率が、ついに50%を超えるほどになってきました。若年層や女性層の間では、普及率が80%を超える普及率となったカテゴリーもあります。

 そのためWebサイトにアクセスするデバイスも、PCではなくスマートフォンやタブレットからの流入がかなりの数になってきました。昨年11月には、ヤフーのトップページのアクセスがPC側とモバイル側で逆転しました。もはやインターネットのアクセスは、モバイルが中心といって過言ではないのです。

 こんな状況を受け入れがたく思う人たちは少なくありません。モバイルの最適化を進めている私たち自身でも、現実の利用状況には驚くばかりです。多くの企業Web担当者が戸惑うのも無理はありません。

「まだまだPCサイトは主流。そんなに急いで対応してどうする?」

と、多くのWeb担当者が心のどこかに思っていることでしょう。

 あまりにも激しい普及スピードに比べて、存在するモバイルサイトの多くは、お粗末なパフォーマンスサイトがほとんどです。すでにほころびや問題課題、また将来的にみても「やり替え」を余儀なくするサイトがあまりにも多いのです。実に無駄で、私たちはこれを「ろくでなしサイト」としています。


ろくでなしサイトは、やり直しがすぐに必要になる

「ろくでなしのモバイルサイト」が生まれてしまった背景には、正しい情報や、よい悪いの性能精査、勝手に決めつけたルール、少ない予算などが生み出してしまった原因です。これらサイトには、次のような特徴があります。

 □ろくでなしモバイルサイト
       縦スクロールが長すぎるサイト
       操作系など、使い勝手が良くないサイト
       タブレットで使いにくいサイト
       表示スピードが遅すぎるサイト
       画像が重すぎるサイト、
       写真画像が汚いサイト
       ソーシャルシェアでちぐはぐなサイト
       ドメインやURLが異なるサイト
       SEO対策で上位表示されないサイト
       モバイル優先で設計されていないサイト
       ソースコードが汚いサイト
       正規表現で作られていないサイト

 これらの問題を整理するとおよそ次の5つのポイントに絞られてきます。

 □やってはいけない必要事項 
       ユーザービリティが悪い (使いにくい)
       別々のサイトになっている(LPが別々=SEOが悪い)
       表示スピードが遅い (見た目重視でパフォーマンスが考慮されていない)
       モバイル優先のデザインではない(モバイルファースト)
       Webが構造化されていない(正しい表記されていない)


 これらの不都合は、将来を見据えた「マルチスクリーン時代に対応したWebサイト」を目指せるはずはありません。あくまでも暫定的でトライアル段階の未熟なモバイルサイトだったというわけです。

 ただし、すでに作ってしまったものは仕方ありません。大切なのは、これから構築する新しいサイトに対しては、将来を見据えて、やり直しの少ない正しいアプローチを行う必要があります。なにより、もったいないのは「時間の無駄」であり、「お金の無駄」です。マルチスクリーンの時代のWebには、こうしたことをクリアして、正しくサイトを構築していく必要があります。

 
 次回は、私たち2年半の活動の中でみえてきた「ろくでなしサイト」はなぜ生み出されてくるのか? なぜ構造的にそうなのか? どう改修すべきか?のアプローチについて解説してみます。

2014年2月6日木曜日

モバイルは異なるサイトではダメ! マルチスクリーン時代のシナリオはどうする?

あるWebマスターがモバイルついて言います。

「デバイスによっては、利用するユーザー層が違うから、ウェブサイトは違っていていいんです。むしろそれ専用に作るほうがいまのところ望ましいと考えています」。

 こんなお話をモバイルサイトを運用する人たちからよく聞きます。つまり、使うデバイスによって、ユーザー層がかなり異なり、利用形態もPCとはかなり異なるから、サイトは専用サイトのやり方のほうが望ましいから、という考えです。


 はたしてこれは本当でしょうか?この論理の根拠は、10年続いたフィーチャーフォンサイト時代に遡ります。フィーチャーフォンの場合は、元々PCサイトなんか見ないティーン層や主婦層が利用者でした。それぞれ別の行動スタイルを持っており、WebサイトもPCとは分けたほうがいいとう考えです。ここで言われるキーワードは「シナリオ」です。
 つまりユーザーや行動がそれぞれ違うから、シナリオを分けてWebサイトを構築すべきだという考えでした。

6インチも登場。進むマルチスクリーンによるユーザー断片化

ところが、いくつかの問題点が表れてきました。

すでにスマートフォンと言っても、スクリーンサイズは4インチから5インチに拡大。2014年の春モデルからは6インチオーバーという時代に突入してきました。これらのスクリーンサイズだけでも10種類以上を超えてきています。果たして、スマホだけで、同じストーリーでいいでしょうか?4インチと6インチではUIや画像そのものの品質もチューニングの必要がでてきます。

同じスマートフォンでもこのサイズの違い AUの資料より


 一方で、タブレットはどうでしょう。こちらも9インチを中心に7インチから18オーバーとなってきており、中には21.5インチとPC以上の大きさを持つものまでで登場してきました。タブレットに関していうと、PCサイトとの決定的な違いは、UI(ユーザービリティ)が異なるという点です。クリック&ドラッグのUIではなく、タッチ&スワイプのUIである必要があり、シナリオ設計の土台にもなる重要な部分です。


               HPが投入した21.5インチのタブレット。大きい!


 またすでに女性層や家庭ではタブレットが大半を占めてきており、シナリオ的にもスマートフォンとは、少し違ったタブレット専用のシナリオ設計が必要です。

 おまけにGoogleが発表したように、ユーザーの多くは複数のデバイスを所有して、各デバイスを遷移しながら利用するユーザー層が増えてきました。
 どんなシナリオも当てはまらない、混沌とした状況が生まれてくるわけです。





           各デバイスを遷移して利用するユーザーの割合 by Google

 
 マルチスクリーン時代におけるユーザー行動への疑問をさらに整理しておきましょう。

・4インチと6インチのユーザーは同じ行動をするか?

・スマホユーザーとタブレットのユーザーはどう違でしょうか?

・モバイルユーザーは、PCユーザーはどう違うでしょうか?

・モバイルを持つ人だけと、PCと併用する人はどう違うのでしょうか?


 このように複雑化してくると、「膨大なシナリオ設計をして、常にアップデートする」必要がでてくるわけです。どういうことかというと、刻々と変わるデバイスサイズや機能に併せて、ユーザー行動やその成長具合をみながら、きめ細かいリサーチを元に、個々に併せたシナリオを設計し、それに基づいたサイトをアップデートしていく必要があるわけです。



                断片化するスクリーンサイズ Androidの場合



 これは現実的ではありません。誰がそんな複雑な設計を可能にできるでしょうか?またコスト的にも、細かいシナリオに併せたサイトを複数持つことが可能でしょうか?エリートのEマーケッターと膨大な予算があれば、可能かもしれませんが。


重要になってくるのは「コンテンツと機能の同一性」。

複雑のシナリオを作り続けること自体がナンセンスです。そのためモバイルユーザーとPCユーザーの最大公約数か、もしくはモバイルユーザーを原則としたモバイルファースト設計にならざる得ないでしょう。PCユーザーが相変わらずメインだというなら、PCユーザーのシナリオをもう一度再設計する必要があります。

 モバイル最適化サービスを提供するカナダ・Mobify社のCTO ジョン・ボクサールが言います

「マルチスクリーンの時代は、コンテンツと機能の同一性が重要だ」と。


 どんなシナリオを用意してもズレが生じてしまうのです。PCのシナリオか、モバイル用シナリオかという議論そのものは、そろそろ終演を迎えているのかもしれません。時代はマルチスクリーンに向かっています。マルチスクリーン時代に併せた最大公約数的に生かせるシナリオ設計こそが重要になってくるのではないでしょうか?

 
企業担当者はほっと胸をなで下ろすのかもしれせん。
これで、膨大なシナリオ作成と膨大な各サイト構築から逃れられると。

 次世代のシナリオは、マルチスクリーンの利用と行動遷移から設計されてくるべきです。そこには
コストや運用の点でも、別のサイトをそれぞれ持つことはあり得ないでしょう。同じ1つのサイトで、機能とコンテンツの同一性をもたせることが必要だと言わざるえません。

専用サイトをもつことは、ほんの少しだけ1年くらいは、有効かもしれません。しかし、その根拠となるシナリオもスクリーンの増大とともに、複数化しはじめてきます。専用サイトは、モバイルSEOにおいては圧倒的に不利と言わざる得ません。